知床の海での遊覧船KAZU1の海難の調査レポートが運輸安全委員会から公表されて、その沈没原因が明らかになりました。

 主原因は、船首デッキにある開口のハッチが破壊されたことによる船首区画および船底区画への浸水、そしてそれに続く前部客室の窓が破壊されたことによる客室内浸水によるものとのことです。

 ブリッジの船長から死角の位置にハッチがあるため、ここからの浸水を認知できていなかった可能性が高いようで、原因が分からない船首トリムの増加(実は船首船底から徐々に船底での浸水が広がり、エンジンも停止)がある中で、船首前面の窓ガラスも割れて船内全体への浸水が進展して浮力を失ったというシナリオです。

 ハッチのメンテナンスが十分にされていれば浸水が起こらず、また浸水が起こっても船底区画の隔壁に開口がなければ浸水は広がらず沈没には至らなかったとの見立てです。

 船底区画の壁を水密隔壁にする等の対策がなされるようです。19総トン以下のJCI船では船底区画が水密区画になっていなくてもよかったとは、私も知りませんでした!!小型船の安全規則に「血の一行」が加えられることになるようです。

事務局長 池田良穂

カテゴリー: 学会ニュース

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です