去る2月15日、大阪商工会議所で開催されたツーリズム振興委員会に委員として出席して、日本政府観光局(JNTO)の市場横断プロモーション部藤内大介部長の講演を聞く機会に恵まれました。タイトルは「インバウンドの現状とJNTOの抗付加価値旅行推進に向けた取組」で、いわゆる富裕層向けの旅行商品の造成に力をいれる方針を説明したものでした。
この中で訪日外国人の消費動向の2023年度統計が示され、航空機費用を除く1人当たりの旅行支出は平均21万2千円。クルーズ客は5万2千円とのことでした。クルーズ客は基本的に日帰り客とみなせますので、観光・食事・買い物に結構たくさんお金を落としていることになります。
ここで狙う富裕層は、1回の訪日で1人あたり100万円以上を使う層で、一般的に知的好奇心や探求心が強く、様々な体験を通じて地域の伝統・文化、自然に触れることで自身の知識を深め、インスピレーションを得ることを重視する傾向があるとしました。現在は訪日外国人の1%程度ですが、消費額は14%を占めており、この層の比率を上げで経済効果を高めたいとのことでした。
説明の中で、ラグジュアリ層には「クラシック・ラグジュアリ」と「モダン・ラグジュアリ」があり、前者は個人的な高い快適性を求め、排他的で、ステータスを好む傾向にあるのに対して、後者は本物の体験、エコツーリズム、持続可能性、新しいことへの挑戦、贅沢よりは体験を好み、個人レベルでの重要性を重視する傾向にあり、特にモダン・ラグジュアリ層を重視していきたいとのことでした。
ここで、10年ほど前に乗船した「セレブリティ・シルエット」のデビュー前クルーズに地中海で乗船した時に、セレブリティの首脳が盛んに「モダン・ラグジュアリ」という言葉を使っていたことを思い出しました。当時は、あまりピンときませんでしたが、こういうことを言っているのかと合点がいきました。
事務局長・池田良穂